運命の一日、第98回箱根駅伝予選会まであと一週間ほどとなりました。
昨年に引き続き、改めて中央大学のエントリーについて見ていこうと思います。
全体エントリーのまとめはこちら。
第98回大会基礎データ
氏名 | 資格記録 | 5000mPB | HalfPB | 第97回大会成績 |
吉居 大和(2) | 00:28.08.61 | 00:13.25.87 | 01:01.47 | 予10位、3区15位 |
三浦 拓朗(4) | 00:28.20.13 | 00:13.41.05 | 01:02.27 | 予25位、8区7位 |
森 凪也(4) | 00:28.22.28 | 00:13.56.74 | 01:02.08 | 予20位、2区16位 |
助川 拓海(3) | 00:28.49.58 | 00:14.16.96 | 01:03.42 | |
中野 翔太(2) | 00:28.58.80 | 00:13.45.19 | ||
中澤 雄大(3) | 00:29.00.40 | 00:14.18.97 | 01:02.58 | 予58位、7区5位 |
手島 駿(4) | 00:29.08.91 | 00:14.07.66 | 01:02.50 | 予51位、9区7位 |
東海林 宏一(1) | 00:29.24.19 | 00:14.01.97 | ||
田井野 悠介(3) | 00:29.34.90 | 00:14.26.59 | 01:06.10 | |
湯浅 仁(2) | 00:29.35.10 | 00:14.27.02 | 01:04.06 | 予179位 |
倉田 健太(4) | 00:29.42.98 | 00:14.32.58 | 01:04.26 | |
山平 怜生(1) | 00:29.47.09 | 00:14.04.18 | ||
阿部 陽樹(1) | 00:30.02.73 | 00:14.07.60 | ||
矢萩 一揮(1) | 00:30.58.88 | 00:14.12.20 | ||
平均 | 00:29.16.76 | 00:14.06.04 | 01:03.24 |
30校中
上位10名平均 2位 28:56.29
上位12名平均 3位 29:04.41
上位10名標準偏差 13位 00:31.16
上位12名標準偏差 12位 00:33.99
97回大会基礎データとの比較
氏名 | 資格記録 | 5000mPB | HalfPB | 第96回大会成績 |
吉居 大和(1) | 28:35.65 | 13:28.31 | ||
大森 太楽(4) | 28:35.66 | 14:28.99 | 1:04:29 | 9区10位 |
三須 健乃介(4) | 28:36.65 | 14:25.10 | 1:03:47 | 予192位 |
三浦 拓朗(3) | 28:40.30 | 13:53.91 | 1:03:51 | 予35位、3区12位 |
池田 勘汰(4) | 29:06.19 | 14:00.37 | 1:02:38 | 予51位、4区11位 |
加井 虎造(4) | 29:08.09 | 14:09.48 | 1:03:07 | |
川崎 新太郎(4) | 29:08.56 | 14:16.61 | 1:03:26 | 予124位、2区17位 |
森 凪也(3) | 29:09.57 | 13:56.74 | 1:03:58 | 予15位、7区12位 |
手島 駿(3) | 29:24.97 | 14:18.51 | 1:03:52 | |
畝 拓夢(4) | 29:25.98 | 14:12.26 | 1:02:59 | 予25位、5区9位 |
矢野 郁人(4) | 29:43.49 | 14:39.92 | 1:04:31 | 予105位、8区16位 |
園木 大斗(1) | 29:48.64 | 14:17.98 | ||
湯浅 仁(1) | 30:03.91 | 14:27.02 | ||
中澤 雄大(2) | (0:14:28.50) | 14:21.51 |
22校中
10000m資格記録
10名平均 1位 28:59.16
12名平均 1位 29:06.98
10名標準偏差 6位 00:19.18
12名標準偏差 7位 00:24.76
98回と97回基礎データの比較
前回大会時は10000mへの出走機会がコロナ禍かつ予選会直前は不出走で限られていたにも関わらず、記録上10名平均も12名平均も1位、かつ全体のばらつきもハイレベルでまとまっておりました。
今回大会は前年秋シーズンの記録の伸びなどをそのまま反映した形で平均記録は更に伸びたものの、逆に全体のばらつきは大きく、10名・12名平均では他校の後塵をやや拝する位置になっています。
以下、昨年の記事におけるフォーマットにのっとって、好材料や懸念材料などを自分なりにまとめていきます。
鬼門・全日本大学駅伝予選会の突破
まずは上半期を代表する出来事として、鬼門となっていた全日本大学駅伝予選会をほぼ危なげなく通過した点が挙げられると思います。
記事はこちら。
主力を欠くエントリーかつ相性の悪い大会ということで周囲の評価が下がっているのを肌で感じておりましたが、見事跳ね返しました。
当該予選を突破しながら箱根予選で涙を飲む大学はもちろんあるのですが、割合としては少ない方であるため、春シーズンの(主力を欠いての)この結果は好材料と考えて良いでしょう。
新戦力の台頭と下からの突き上げ
前回大会は頼れる4年生を中心に、学年比7-3-1-3というなかなかにアンバランスな構成となっていましたが、一転今年は4-3-3-4と各学年まんべんなくエントリーされています。昨年度は中澤くんのみだった3年生世代からも、ハーフや公式戦での実績を十分積んだ上での助川くん、田井野くんエントリーということでバランスが取れてきました。
西湖タイムトライアル上位8名からの選考
前述の「下からの突き上げ」にも絡みますが、今年度も昨年度と同様、夏シーズン最終盤に西湖ロードでのタイムトライアルが行われました。レースの全容は変わらず不明なものの、ここで上位に入った選手たちは皆エントリーされています。
トップの吉居くんは圧倒的、また2位の中澤くんからは若干の差があるものの、3番手阿部くんから8番手矢萩くんまでは手元計測で30秒を切る程度です。
ハーフマラソンという距離かつ下級生中心の布陣、また合宿中の疲労が残る中でしかも64分台までにこれだけの人数が一斉フィニッシュ-という情報から得られる意味は極めて大きいと考えられます。
特に1年生のハーフマラソン対応は夏シーズンにおける最重要課題の一つと思われますが、この点をクリアした選手がこれだけいることは驚きで、頼もしく感じます。
西湖トライアル組以外も充実
このTTに不参加と思しき面々は三浦くん、森凪くんを始めチームの主力を担う選手が大半であり、もしも同じレースに参加していれば上位の顔ぶれも全く変わっていたのでは…と思わされます。
秋シーズン序盤のトラックレースでその結果を確認できなかったのは残念ですが、そんな中でも中野翔くんの本格化を予感させる5000m大幅PBや、シーズン序盤苦しんだ森凪くんの復活の走りなどにその片鱗を見ることができました。
全体として大きなレースでの経験値にややブレはあるものの、14名の中で調子が上がってさえいれば誰が走っても問題ないのではないか…と昨年同様に考えることができます。このことは、選考や人選にロードレースを重視し、かつその成果を我々ファンの知るところとしてくれたスタッフの尽力あってのものと思います。
エースの復調どこまで、主力の離脱
一方で、懸念点もあります。
まずは前回大会果敢に留学生に挑み日本人先頭集団を率いた森凪くん吉居くんの両エースについて、昨年同様計算が立つかという点です。
春シーズンは両者とももう一つの結果が続き、またなかなか秋シーズンの前哨戦自体少なくその後の判断材料に乏しいのが正直な所です。とは言え、凪くんは9月末の東海大記録会において、展開も内容もタイムも満足いくものだったことがプラス材料として挙げられます。
一方の吉居くんのプラス材料は前述の西湖タイムトライアルでの圧勝、マイナス材料はそのわずか一週前の全日本インカレ5000mで、位置取り含めなんとも言えない走りだった点です。
ただ、吉居くんの場合は走り込みの過程で全カレ出走→その後ハーフという流れであれば、ある程度納得のいく形でもあります(他校の主力で沈んでしまった選手についても同じことが言えそう)。
そして全日本予選の突破に貢献した選手を始めとした主力の離脱も、影響は大きいです。今シーズンの安定感と成長が著しい若林くん園木くん、精神的主柱でもある井上主将や復活が待たれる千守くんなどを欠くことは、全日本予選前のチームでの評価が若干下がったときと同じ印象を感じます。
記録の分散が大きく、下級生のフォローが大事
学年構成のバランスは良くなったものの、逆に下級生-特に1年生のエントリーは4名と多く、これは第94回大会予選会以来の出来事です。この時は畝・池田・川崎・加井各選手のうち前3名が出走し、いずれもチーム10番手以内に入り貢献しました。
今回も確実に2名以上の出走が予定されています。どの選手も大舞台での経験が豊富な上、94回大会時は得られなかったハーフの距離対応は問題なさそうという実感もありますので、期待半分不安半分といったところです。
チームの記録として、昨年より分散(標準偏差)が大きくなっているのも、このことが要因と言えます。
秋シーズンのトラック腕試しが事実上無くなったことで、特に1年生の10000m資格記録は春シーズン最序盤や高校在学時記録、または猛暑の6月など現段階で参考にし難いものばかりです。この点は単に見た目の問題として片付けられるかもしれません。
前回大会より予選会・本選経験者が相対的に減少したこともあり、10人目の下級生がなかなか来ない…といった心臓に悪い展開を避けるべく、例年以上に第2集団のフォローが大事になってくるのではないでしょうか。
今の所お天気は悪くない
1位は狙わない?まずは確実に通過を
【ブログ更新・陸上競技部】
— 「中大スポーツ」新聞部 (@chuosports) October 12, 2021
「駅伝シーズンの学内選考 山口『一言でいうと悔しい』」ー第9回中央大学記録会の記事を更新しました。https://t.co/pqkTuPkFey#真紅の襷に個を刻め#中大スポーツ
チーム単体として見れば外野があれこれ言うこともできようですが、とはいえ各校とも完璧なエントリーを組めたところの方が稀です。つくづく本番への調整の難しさを感じます。
昨年ほどでは無いにせよ相対的にはかなり強力な戦力ですが、藤原監督のインタビューを見る限り、2週間後の全日本も見据えつつ、絶対に1位通過だ…という感じでは無さそうです。
私も一ファンとして順位はともかく、まずは確実な通過を果たしてその中に光るものがたくさん見いだせれば良いなと考えています。
選手スタッフ皆様の奮闘に期待しています。
(※ちなみに、昨年度の結果は下から10名を足し上げても合計タイム10時間30分4秒で5位通過相当、ボーダーからはまだ3分以上開きがありました。チーム力は既にそういう水準まで達している、と捉えてそう問題はないと思います。)