2022年度中央大学陸上部スポーツ推薦合格者が発表

今年も待ちに待った新入生発表時期がやってまいりました。
このようなご時世の中、特に都大路前に毎年公にして頂けることに感謝したいと思います。

また、新入生の皆様に置かれましては合格誠におめでとうございます。4年間が全ての選手に対し実りあるものになるよう祈念しておりますし、そのようになれる環境が整いつつある―と確信しています。

選手のPBや実績は各種サイトを参考にした手元調べ(+本日付)ですが、もし間違いや抜け等あればご指摘頂ければと思います。

参考:昨年の記事

1500m 03:48.85 (20/10/11 ナイタートライアル屋島)
3000m 08:15.38 (20/09/27 京都陸協)
5000m 13:55.97 (21/10/03 日体大)
10km 29:01 (21/11/28 近畿駅伝)

第71回男子全国高校駅伝7区5.0km4位 14:24 (20/12/20)
第44回春の高校伊那駅伝1区7.98km7位 23:23 (21/03/21)
第72回京都府高校駅伝3区8.1075km1位 23:57 (21/11/07)
第72回近畿高校駅伝1区10km2位 29:01 (21/11/28)

持ちタイムトップは洛南高のダブルエースの一角、溜池くんです。
今季は佐藤圭くんが超高校級でどうしても話題になりがちですが、この溜池くんも歴代の洛南高エースと比して全く遜色ない素晴らしい実力の持ち主です。

個人的な印象ですが集団走が非常にうまく、3年時にはトラック・ロード共に持ち前の安定感が更に一段二段高いレベルに到達したように思います。県駅伝後の14分一桁台の2ndベスト、更に近畿駅伝の10km28分台に届こうかという走りは見事でした。
1500mから10kmまで全ての記録に隙がありません。

1500m 03:47.35 (21/04/24 日体大)
3000m 08:07.82 (21/04/29 くまがや)
5000m 13:56.16 (21/09/25 いちのせき)
10000m 28:11.96 (21/11/13 日体大)
10km 29:07 (20/10/17 宮城県高校駅伝)

第71回男子全国高校駅伝1区10.0km7位 29:17 (20/12/20)
第44回春の高校伊那駅伝2区7.52km1位 22:56 (21/03/21)
第72回宮城県高校駅伝1区10.0km1位 29:37 (21/10/17)

その溜池くん同様に1500mから10km、10000mまで全てが高校トップレベルの記録をひっさげ入学するのは、吉居駿くん。ご存知中大エースの一角、吉居大和くんの弟さんです。
中学時代から常に世代トップの最前線で戦い続け、未だその地位は揺るぎません。

巷では爆発力の兄・安定感の弟などと評する向きもありそういう見方も正直していたのですが・・・11月の日体大10000mでその印象は完全に吹っ飛びました。高校歴代3位の快記録を叩き出し、充実のシーズンを追え最後の都大路に臨みます。

単純にランナーとしての能力は勿論のこと、これから兄弟で高め合い記録を追い求めていくことや、或いは襷リレーなども―と、1ファンとしてポジティブな妄想が止まらない魅力を持った選手です。

1500m 03:54.21 (21/08/14 足立ナイター)
3000m 08:34.25 (21/04/29 くまがや)
5000m 13:56.30 (21/11/14 日体大)
10000m 29:34.96 (21/10/01 国士大)
10km 30:14 (21/10/30 東京都高校駅伝)

第71回男子全国高校駅伝1区10.0km38位 30:57 (20/12/20)
第72回東京都高校駅伝1区10.0km3位 30:14 (21/10/30)

同じく兄弟ランナーとして兄の背中を追って入学してくれる伊東夢くんは、武井隆次さんの東京都高校記録を32年ぶりに更新、来年度入学3人目の13分台ランナーです(後に城西高田中くんが更に更新)。

兄と同様特にトラックレースのスピードが卓越していますし、高い安定感もあります。10000mに比べ10kmロードの実績はまだこれからと言ったところですが、数々の久我山卒の先輩がそうであったように、学年が進むにつれ積み上げ強くなってくれるものと期待しています。

西 優斗(宮崎日大)

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1500m 04:05.19 (21/06/01 宮崎総体)
3000m 09:03.02 (19/09/07 日南ナイター)
5000m 14:03.11 (20/11/14 佐賀県長距離)
10000m 30:14.97 (21/10/09 中大)
10km 29:15 (21/11/05 宮崎県高校駅伝)

第73回宮崎県高校駅伝1区10.0km2位 29:31 (20/11/05)
第74回宮崎県高校駅伝1区10.0km1位 29:15 (21/11/05)
第74回全九州高校駅伝1区10.0km2位 29:29 (21/11/20)

古豪小林高に変わり台頭著しい宮崎日大高からは、現エースの西くんが進学です。
全日本直前の学内記録会に参加ということでかなり可能性は高いと踏んでいましたが、無事決まってホッとしています。

西くんは逆に、長距離ロードの強さにトラックのスピードが追いついてきている印象です。2年時から既に10kmを29分30秒台で走破し、その後も10km30分切を複数回記録するなど高位安定の実力者です。

トラックレースはばっちりハマった時とそうでない時でやや分散が大きめな印象ですが、そこは今後の成長と共に安定してくれるものと思います。爆発力が非常に高くワクワクする選手です。

1500m 03:59.12 (21/05/29 大阪府高校対抗)
3000m 08:26.65 (21/11/21 京都陸協)
5000m 14:08.07 (21/12/05 日体大)
10000m 30:48.31 (20/10/04 大阪府高校長距離)
10km 29:50 (21/11/06 大阪府高校駅伝)

第72回大阪府高校駅伝1区10.0km1位 29:50 (21/11/06)

大塚高校のエース白川くん、府内では非常に著名な選手です。

中学時代から3000m8分台で走る実力の持ち主。関大北陽や大阪・清風といった強豪校とは異なる環境を選ぶも順調に記録と実力を伸ばしてきました。今年の大阪府駅伝1区、完全独走で区間新記録の29分台走破はお見事でした。

また、特に今年度の春先はそんなに走るの?と心配になるくらい5000mへ続けて出走していました。

体育科設置の県立高ではあるものの、男子長距離的には他にも有名校が多数ある…その環境下で積み上げこの水準まで記録を伸ばしてきたことも含め、彼のタフさは大きな武器になると思っています。

篠原 寛(中央学院)

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1500m 03:51.10 (21/06/18 南関東総体)
3000m 08:10.92 (21/04/29 くまがや)
5000m 14:12.13 (21/06/19 南関東総体)
10km 30:19 (21/10/30 千葉県高校駅伝)

第76回千葉県高校駅伝1区10.0km5位 30:19 (21/10/30)

雑誌での確定情報はありましたが、ある意味今年一番のサプライズ枠かもしれません。
中央学院高→中央大って何かの間違いでは・・・と変な考えもよぎりますが、同校のエース篠原くんが進学実績としても初めての入学となります。

5000m持ちタイムもさることながら、春先に記録した3000m8分10秒はかなりハイレベル。3000m~5000mのスピードや10kmロードの現状での対応は、入学前の阿部くんと少し被るところがあります。

その印象に違わず、下級生の頃はスピードを生かした短い区間の走りが得意でしたが、3年時は1500mのスピードから10kmまでマルチに対応。先輩同様の成長曲線に期待したいところです。

1500m 03:57.34 (21/07/02 秋田県選手権)
3000m 09:27.50 (18/07/16 秋田中学総体)
5000m 14:14.61 (20/09/26 いちのせき)
10km 29:52 (21/10/24 秋田県駅伝)

第71回男子全国高校駅伝3区8.1075km36位 25:29 (20/12/20)
第44回春の高校伊那駅伝4区9.1km4位 27:07 (21/03/21)
第72回秋田県高校駅伝1区10km1位 29:52 (21/10/24)

個人的にはサプライズ枠の2つ目ということになります。
秋田工業高はご存知秋田県高校長距離を牽引してきた名門中の名門。

2年生世代が伸びている中、今季最長1区を担当している3年生エースの佐藤くんが初めての進学となります。手元調べによる1994年以降の進学者には、同校はおろか秋田県からの進学もありません(把握できていない中途退部者を除く:情報求む!)。

高校2年時に急成長し県駅伝10kmを始めとした長距離区間を任されていましたが、伊那駅伝の最長区間を好走してから更に高いレベルで安定してきました。先日の日体大もラスト2周まで自己新ペース、調子が上がっているようでした。

中学時代は3000m9分台中盤の持ちタイムながら、しっかり積み上げて台頭してきた好選手です。大学での積み上げにも引き続き期待できると思います。

永島 陽介(東京農大二)

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1500m 03:56.05 (21/04/11 群馬春季)
3000m 08.25.53 (21/06/05 平国大)
5000m 14.19.09 (21/03/28 東海大)

第71回男子全国高校駅伝6区5.0km18位 14:53 (20/12/20)
第44回春の高校伊那駅伝1区7.98km15位 23:38 (21/03/21)
第56回群馬県高校駅伝3区8.1075km1位 24:27 (21/10/30)
第74回関東高校駅伝3区8.0km(8000m)5位 23:46.00 (21/11/20)

農大二高からは小林くん以来の進学となります、永島くんです。記録の面では入学時の先輩とかなり似通った雰囲気を持っています。

中3のジュニアオリンピックを3000m8分40秒台の好記録で走破。層の厚い農大二校の中でも1年時から主要な駅伝大会で2区を担当し、今年からは長距離区間も任されるようになりました。出走した8km前後の区間の全てを、かなり安定的な記録でまとめています。

昨年の阿部くんもそうでしたが、中距離から長距離までの積み上げの過程やその後の安定感がお手本のような形の選手です。

並み居る好選手の中から都道府県対抗駅伝の代表にも選ばれましたので、大舞台の経験を経て更に成長してくれることと思います。

1500m 03:53.30 (20/09/18 山口県新人)
3000m 08:19.49 (19/10/08 国体)
5000m 14:24.35 (21/12/05 日体大)
10km 29:56 (20/11/22 中国高校駅伝)

第72回山口県高校駅伝1区10.0km2位 30:35 (20/11/01)
第62回中国高校駅伝1区10.0km2位 29:56 (20/11/22)
第73回山口県高校駅伝7区5.0km1位 15:24 (21/11/07)
第63回中国高校駅伝1区10.0km5位 30:21 (21/11/21)

豊浦高の吉中くんは、中学時代から全中・ジュニアオリンピックに複数回出走、高校1年時の国体3000mでは上位表彰台にも登りました。

勢いそのままに成長を続け2年時の県駅伝では当時西京高3年の阿部くんに迫る区間2位、中国駅伝で10km30分切も果たします。

3年時序盤は怪我の影響か少し出遅れたようですが、県駅伝以降は再び10kmを快走し5000mでベスト更新など波に乗りつつあります。

持ち前のスピードを活かし、怪我なく練習を積み上げれば更に伸びてくるだろうと思います。例年であれば、少なくともこの位置で紹介するような選手ではありません。

1500m 04:10.11 (21/07/18 国体南部地区)
3000m 08:40.29 (21/09/20 平国大)
5000m 14:29.28 (21/11/28 東海大)

第70回男子全国高校駅伝6区5.0km43位 15:10 (19/12/22)
第18回奥むさし駅伝6区9.4km10位 29:08 (20/01/26)
第72回埼玉県高校駅伝3区8.1075km1位 24:26 (21/11/01)

埼玉栄高から久々の進学となる現主将の森くんです。

1-2年時と5000mPBが15分台を少し切るあたりの頃から、駅伝では5kmから8km超の区間を任されています。2年時は少し足踏みしたように見えましたが最終学年の今期は急成長、5000mのタイムもぐっと伸びてきました。

それでも県駅伝3区区間賞のタイムを見る限りでは、更にタイムを縮めてきておかしくないように思います。
近年の埼玉栄高出身者同様にどちらかと言えばロードが得意な選手と推察しますが、この持ちタイムでロード型ということであれば、長距離にもいち早くフィットしてくるかもしれません。

1500m 03:54.24 (21/05/04 東海大)
3000m 09:34.07 (17/12/16 横須賀市長距離)
5000m 14:50.77 (21/09/25 東海大)
10000m 33:40.11 (神奈川県高校駅伝 19/11/02)

神奈川県高校駅伝2021 1区10.0km7位 30:42 (21/11/07)

※22/04/14追記
年度が変わってすぐに正式入部が決まりました、折居くんは横須賀三浦地区屈指の進学校・横須賀高からの進学です。

県立の進学校という環境下も相まって1年時から長距離区間を任されじわりじわりと記録を伸ばし、2年時には5000m14分台、3年時には1500m3分台、10km30分台と一つ一つ着実に壁を打ち破ってきました。

更に入部決定直前の5000mでは14分30秒台を記録するなど、先に推薦入学が決まっていた同期とも全く遜色ない記録です。
練習強度が一気に上がってどこまで対応できるかという心配もありますが、続けてレースに出走して高校時のように着実に力をつけて欲しいです。下剋上の予感を早くも感じさせます。

まとめ

既に大きな反響がある通り、5000m13分台が複数人、ましてや3人が同時に進学することはこれまでに例がありませんでした。高校長距離界全体のボトムアップが進んでいることを差し引いても、来年度新入生の顔ぶれは中大にとって大きなターニングポイントになろうかと思います。

また、これまで進学実績が皆無だった高校へも積極的に声掛けをしているところが伺えますね。

中央学院高・秋田工業高など実際に結果として出ると驚く例もあります。単なる想像に過ぎませんが、いわゆる「パイプ」とも呼ばれる強固な結びつきを超えて、個人の意志が尊重されて進学が決まったのであれば大変に喜ばしいことです。

いち応援者として、引き続き彼らの4年間またそれ以降の活躍を静かに見守りたいと思います。