第97回(2021)箱根駅伝予選会 中央大学結果考察+全大学スプリットタイム表

超高速の第97回箱根駅伝予選会、終わってからまだ1週間も経ってないんですね。
BSの録画を何度ループしたか分かりませんが、視聴する度・また記録を見る度に新たな発見があります。
本日は改めて中大各選手の記録について、細かく見ていきます。それだけではやや今更感は否めないので、各大学のスプリットタイム表もおまけで付けておきます。

まずは結果一覧

スタート~5km地点

定点間順位氏名Time0-5km1km lap
6吉居 大和(1)14:1314:132:50.6
6森 凪也(3)14:1314:132:50.6
31三浦 拓朗(3)14:3814:382:55.6
54畝 拓夢(4)14:4814:482:57.6
54大森 太楽(4)14:4814:482:57.6
54加井 虎造(4)14:4814:482:57.6
67三須 健乃介(4)14:4914:492:57.8
67園木 大斗(1)14:4914:492:57.8
149手島 駿(3)14:5814:582:59.6
149中澤 雄大(2)14:5814:582:59.6
149池田 勘汰(4)14:5814:582:59.6
149湯浅 仁(1)14:5814:582:59.6

スタートから吉居くん、森凪くんが勢いよくスタートし、留学生にも食らいつく走りを見せます。
5km通過時点でもまだ十分視界に捉えられる程度で1kmラップも2分50秒。ハーフマラソン+失敗が致命傷となる予選会…ということを考えればかなり積極的な入りです。

速い集団は畝くんが引っ張り、4年生+園木くんが付きます。ブログを見る限りでは三浦くんもこの集団?のはずだったのでしょうが、5kmでは既にこの小集団の10秒前を行くという、これまた積極的な入りでした。

後ろの小集団は池田主将が初レースの3人を引く形。この集団がキロ3分を切っていることを確認した時点で、10名通過は7位ながら
「今日はたぶんいける」
感覚がありました。
エース+速い集団+後ろの集団がしっかり固まって通過-と非常に順調なスタートです。

5km~10km

定点間順位 氏名 Time 5-10km 1km lap
6 三浦 拓朗(3) 29:21 14:43 2:56.6
33 森 凪也(3) 29:00 14:47 2:57.4
36 吉居 大和(1) 29:01 14:48 2:57.6
56 畝 拓夢(4) 29:44 14:56 2:59.2
56 大森 太楽(4) 29:44 14:56 2:59.2
56 加井 虎造(4) 29:44 14:56 2:59.2
56 三須 健乃介(4) 29:45 14:56 2:59.2
56 園木 大斗(1) 29:45 14:56 2:59.2
174 手島 駿(3) 30:03 15:05 3:01.0
174 中澤 雄大(2) 30:03 15:05 3:01.0
174 池田 勘汰(4) 30:03 15:05 3:01.0
174 湯浅 仁(1) 30:03 15:05 3:01.0

5km-10kmは日本人先頭集団のペースが一旦落ち着きます。とはいえ、この5kmだけ見ても全体33位前後ということで、以前高水準であることは変わりません。

この間チーム1番手で刻んだのは三浦くん。ほぼ日本人トップの走りで序盤からハイレベルな刻みを続けています。

速い小集団、後ろの小集団も全く崩れることなくしっかり固まって通過しています。

この時点でも10名通過は7番目でしたが、総合記録は変わらず2位。この時点でほぼ通過を確信でき、後はどの順位・どの記録でフィニッシュできるかに意識が向いてきた所です。

10km~15km

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定点間順位氏名Time10-15km1km lap
14三浦 拓朗(3)44:0514:442:56.8
34三須 健乃介(4)44:3414:492:57.8
34畝 拓夢(4)44:3314:492:57.8
34大森 太楽(4)44:3314:492:57.8
34加井 虎造(4)44:3314:492:57.8
43中澤 雄大(2)44:5314:502:58.0
55手島 駿(3)44:5614:532:58.6
55池田 勘汰(4)44:5614:532:58.6
63吉居 大和(1)43:5514:542:58.8
69森 凪也(3)43:5514:552:59.0
171園木 大斗(1)44:5515:103:02.0
171湯浅 仁(1)45:1315:103:02.0

日本人先頭集団を行く吉居くん、森凪くんのペースはここでチーム内下位まで下がります。
10km・15km地点とも「中盤は集団のペースが上がらず…」と各所でのコメントがあった通りの結果を表しています。ここで迷わず飛び出す選択肢もあったかもですが、予選会という場を考えるとそう簡単な話でも無いでしょう。とは言うもののそれでも全体60番台です。

この5kmもチーム1番手は三浦くん。スタートから1キロ2分55-56秒で全くブレずに走破しています。見事なラップです!

速い小集団からは園木くんがこぼれましたが、チャレンジしての結果。4年生が変わらず固まりで刻み、チームとしてしっかり走れています。
後ろの集団も湯浅くんが少し遅れたものの、逆に中澤くん手島くんはともにペースアップ。引っ張る役目を担ってきた池田主将も続きます。
流石に15kmまで来ると完全な集団とは行かなくなりますが、それでもほぼ完璧なレース運びと言って良いかと思います。

 

15km~20km

定点間順位氏名Time15-20km1km lap
13吉居 大和(1)58:3514:402:56.0
19手島 駿(3)59:3714:412:56.2
21三須 健乃介(4)59:1814:442:56.8
30中澤 雄大(2)59:4014:472:57.4
42池田 勘汰(4)59:4714:512:58.2
48森 凪也(3)58:4814:532:58.6
50大森 太楽(4)59:2814:552:59.0
56三浦 拓朗(3)59:0114:562:59.2
61畝 拓夢(4)59:3014:572:59.4
77加井 虎造(4)59:3415:013:00.2
170園木 大斗(1)1:00:1715:223:04.4
192湯浅 仁(1)1:00:4115:283:05.6

日本人先頭集団は後ろと合流後大集団となり、激しい日本人トップ争いが繰り広げられました。
吉居くんは再び速いラップを刻み、この間チーム内トップ。初ハーフにも関わらず、後半に来てこの走りは見事という他ありません。
同じく先頭集団で苦しい表情を見せた森凪くんも、定点間50位内でしっかり走れています。

この間はビルドアップ走が見事にはまった手島くん中澤くん、そして各集団の4年生の走りが見事ですね。

園木くん湯浅くんも大きくは落ちておらず粘走しています。
ハーフの結果を見れば当然なのですが、10人59分台以内というのも、かつての予選会を基準に考えるととんでもない走りです。

FINISH地点(1.0975km)

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定点間順位氏名Time20km- Finish1km lap
11吉居 大和(1)1:01:4703:122:54.9
11畝 拓夢(4)1:02:4203:122:54.9
17手島 駿(3)1:02:5003:132:55.9
30三須 健乃介(4)1:02:3303:152:57.7
30大森 太楽(4)1:02:4303:152:57.7
96中澤 雄大(2)1:02:5803:183:00.4
96池田 勘汰(4)1:03:0503:183:00.4
132森 凪也(3)1:02:0803:203:02.2
196園木 大斗(1)1:03:4003:233:05.0
239湯浅 仁(1)1:04:0603:253:06.8
256三浦 拓朗(3)1:02:2703:263:07.7
256加井 虎造(4)1:03:0003:263:07.7

インタビューではラストに足が残っていなかったとの吉居くん、とはいえラストもチーム内トップでラップも2分55秒切と十分すぎる走りです。

この間全く同じタイムで強烈なラストスパートを見せたのが畝くん。速い集団を引っ張る役目も担ってきたことを思えば、このラストは驚異的ですらあります。本当に頼りになる選手です。

集団を離れてから手島くんがずっとビルドアップを続けているのも見逃せませんね。この後半の強さは復路でぜひ見てみたい走りです。
三須くん大森くんも高レベルなスパートでまとめてきました。池田くん中澤くんまでこの定点間100位以内と、早くと突っ込んだにも関わらず足がしっかり残っているのがよく分かりますね。

三浦くんは15kmまでが見事すぎたので、この落ち込みも仕方ないかなと。加井くんは62分台も十分狙えたので非常に惜しかったです。ただ、長距離ロードの勝負レースで結果を出したことが大きいので、残り1kmの失速を詰めていけば本戦の出走も十分射程圏内でしょう。

最終結果(総合2位)

最終 順位 氏名 Time 1km lap
10 吉居 大和(1) 1:01:47 2:55.7
20 森 凪也(3) 1:02:08 2:56.7
25 三浦 拓朗(3) 1:02:27 2:57.6
29 三須 健乃介(4) 1:02:33 2:57.9
40 畝 拓夢(4) 1:02:42 2:58.3
41 大森 太楽(4) 1:02:43 2:58.4
51 手島 駿(3) 1:02:50 2:58.7
58 中澤 雄大(2) 1:02:58 2:59.1
62 加井 虎造(4) 1:03:00 2:59.2
73 池田 勘汰(4) 1:03:05 2:59.4
131 園木 大斗(1) 1:03:40 3:01.1
179 湯浅 仁(1) 1:04:06 3:02.3

最終結果は上記のようになります。
キロ3分超え付近から出走した後方集団4名のうち3名がキロ3分を切ってくるなど、総じて突っ込んだ入りにも関わらず押し切ってまとめられる力がついてきたように思います。
本日の文化放送で柏原さんが言及していたように、後は5人くらいの集団内の駆け引きや単独走での強さが求められますが、このチームであればやってくれるのではないか…と期待が持てる結果でした。

各定点間ラップまとめ

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個人順位氏名大学タイム1km lap
5km5-10km10-15km15-20kmFinsh
10吉居 大和中大11:01:472:50.62:57.62:58.82:56.02:54.9
20森 凪也中大31:02:082:50.62:57.42:59.02:58.63:02.2
25三浦 拓朗中大31:02:272:55.62:56.62:56.82:59.23:07.7
29三須 健乃介中大41:02:332:57.82:59.22:57.82:56.82:57.7
40畝 拓夢中大41:02:422:57.62:59.22:57.82:59.42:54.9
41大森 太楽中大41:02:432:57.62:59.22:57.82:59.02:57.7
51手島 駿中大31:02:502:59.63:01.02:58.62:56.22:55.9
58中澤 雄大中大21:02:582:59.63:01.02:58.02:57.43:00.4
62加井 虎造中大41:03:002:57.62:59.22:57.83:00.23:07.7
73池田 勘汰中大41:03:052:59.63:01.02:58.62:58.23:00.4
131園木 大斗中大11:03:402:57.82:59.23:02.03:04.43:05.0
179湯浅 仁中大11:04:062:59.63:01.03:02.03:05.63:06.8

定点間の1kmごとラップをまとめます。この観点で見ると、手島くんの10km以降加速していく走りが際立っていることが分かりますね。

おまけ・全大学スプリット表

本記事の執筆にあたっては、全大学の定点間タイムをエクセルで素早く・かつ分かりやすくまとめてくださった
Saijo’s箱根駅伝HP様
のデータを参考にさせて頂きました。この場をお借りしまして深く御礼申し上げます。

上記データにはスプリット毎順位のみが不足しておりましたので、当方がこれらのデータを追記修正・補完するという意味でこちらにアップさせていただきます。
よろしければ各種データ分析等にお使い下さい。

おまけ2:ずっと加速し続けた選手

個人順位氏名大学タイム1km lap
5km5-10km10-15km15-20kmFinsh
49梶川 由稀城西大41:02:482:59.82:59.82:59.82:56.02:54.0
52曽根 雅文国士大41:02:513:00.43:00.42:58.42:57.62:50.4
154前原 裕磨慶大21:03:493:03.23:01.83:01.43:00.02:59.5
163諸星 颯大育英大21:03:543:03.03:01.83:01.43:01.22:59.5
446毛利 陽人一橋大41:11:223:26.63:24.03:23.63:18.83:17.7
451伊藤 俊太高崎経大41:11:383:31.43:27.03:22.23:16.23:15.0
527内藤 航平東工大21:18:343:47.23:46.23:43.43:39.23:33.2

中大では手島くんのラップが目立っておりましたが、実は全大学を見渡すと更にすごい選手がいまして…。
「前の定点の記録を越えず、常に加速して(言い過ぎ)フィニッシュ」した選手は手元調べで7名のみ。このうち本戦にも出走する梶川くん、曽根くんの各4年生は出走がとても楽しみになりました。
特に曽根くんのラストは凄いですね。