第97回(2021)箱根駅伝 中央大学チームエントリー考察3 (2年生)

気がつけば区間エントリー前最後の週末となりました。残り2学年、土日でご紹介しその日を待つこととします。本日は個性豊かな実力派が揃う2年生です。

助川 拓海

まずは一年時の勢いが戻ってきた、積極的な走りが持ち味の助川くんです。

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高校2年時に、茨城・水城高校は全国高校駅伝県内過去最高順位(10位)を記録しましたが、その頃から主力で活躍していました。もちろん3年時も主要区間を任され、全国高校駅伝・都道府県駅伝共に好走。
スピードもスタミナも兼ね備えた好選手として入学してきました。

入学直後からそれに違わぬ活躍で、跳ね返されはしましたが関東インカレにも抜擢されます。
また、10000mまでの距離に早いうちから対応。
この調子であればハーフの距離も直に…と思っていましたが、秋冬から若干停滞したように見えました。

それでも今年に入ってから走る10000mは全て29分台でまとめるなど、地力の高さを示しています。
とはいえ、日体大記録会でいきなり28分台は驚きでしたね。直前の5000mからきっちり2本揃えて、初の箱根路エントリーを勝ち取ります。 

予想区間
3区、6区、7区

助川くんといえばどの距離でも序盤から積極果敢に突っ込みそして粘る、更にはゴール後にしばしば雄叫びをあげるなどの熱い走りが持ち味です。
「入りを早く入って粘る」走りが求められるのはどこかな…と考えた時にこの3区間が浮かびました。

特に下りから入る3区と、思いっきり下り最後に平地で粘る6区はどうでしょうか。
高校2年時は全国4区・3年時は3区担当でしたが、成績も含めどちらかといえば下りの走りが向いてるように見えたのも一因です。

スピードと積極性に疑いの余地はないので、あとは20km超にどこまで対応してきているかですね。
エントリーされたからには…ということなら、往復路のスピード区間どこでも実力を発揮してくれそうです。

千守 倫央

続いては、復活の2年生エース千守くんです。

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松山商業高時代は3年連続で全国高校駅伝1区を担当。流石に1年時は区間下位に沈むものの、3年間で徐々に適応、最終年では区間中位での好スタートを切りました。

四国からの実力者進学が久々ということもあり、持ちタイムはこれからだけどいい選手が来たな、というのが第一印象でしたね。しかし、今に至るまでの成長速度は全く予想できませんでした。

入学直前の10000mでいきなり学年トップの29分台で走ると、春先の1500m-3000mの同日ハシゴでは、当時高3の吉居くんとも競り合う驚きのスピードを披露。

ハーフマラソンの距離は幾度か跳返されますが、箱根路1区を乗り切ってからは本領発揮。
スピードとスタミナを兼ね備えた同学年のエースとして、一躍その名を轟かせることになりました。

今期は春シーズン以降なかなか姿を見られず、予選会も欠場で厳しいかと思われましたが、11月後半からのV字回復は見事でした。
前回大会も直前の合宿で調子を上げての1区抜擢とのことでしたが、さて。

予想区間
1区、2区、3区、4区、7区

往路特殊区間以外は同じく柱の三浦くんと同じく、それと7区という可能性も残しました。
回復ぶりが順調でかつ調子も上がっていれば、間違いなく往路主要区間で起用されるでしょう。
また、前回8区の可能性もあったということで、2区終盤登りも或いはこなせそうという印象です。

もしもこのV字回復に急ピッチの間に合わせ…という側面があるならば、復路起用もあるでしょうか。
その場合でも、チームの狙いを考えると例えば9区まで温存というのは考えにくく、序盤のポイント区間が適しているかと。

正直なところ予選会後しばらくは、今年は厳しいものと考えていましたので復活がとても嬉しいです。是非出走して前回大会のリベンジを果たして欲しいですね。

中澤 雄大

続いては、哲学する知性派ランナーの中澤くんです。

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中澤くんの存在を初めて知ったのは、学法石川高2年時の東北高校駅伝1区でした。
県大会からメンバーをガラッと変えた学法石川は、強豪校の主力を抑える中澤くんの1区区間賞の走りで見事優勝。
層の厚い学石に、まだこんな選手がいたのか!と驚いた記憶があります。

その年は都道府県対抗駅伝や伊那駅伝などでも大活躍でしたが、3年時はやや怪我に苦しんだでしょうか。

怪我が若干多いもののロードに滅法強い好選手という印象は、大学入学後も変わっていません。

入学直後はなかなか姿を見られませんでしたが、ホクレンの組1位や蔵王クロカンなど存在感を示していました。
そして学年が上がった今年は、Instagramでも継続的に練習が積めている様子を伺え、箱根予選前の西湖ロードでトップとなった時は、いよいよ秘密兵器がベールを脱ぐものとワクワクしました。

その後は正に想像通りか更にその上をも行く活躍。
元来のロードの強さに加え、走るレース全てを全く外さない安定感も加わり箱根路へ挑みます。

予想区間
4区、5区、7区、8区、9区、10区

往路序盤以外ほぼどこでも行けるのではないか、と。
本人希望が8区であること、また蔵王クロカンで圧巻の走りを見せたことからアップダウンはある程度苦にしないのではないかという認識です。
だからといって即5区とはならないでしょうが、ロードでの基本総力も極めて高い選手なので合わせてくれそうな気もします。

状況変化にも対応できる頭の良いランナーなので、難コースの4区や復路要の9区なども任せられると思いますし、距離の不安も無いのでアンカーという可能性もありそうです。

とにかく練習が継続できている限りはこれほど心強いランナーもなかなかいませんね。下級生の頃の畝くんの印象にも近いです。

まずは順当にスタートラインに立ち、この一年の積み重ねをファンに見せて欲しいところです。

若林 陽大

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本日ラストは、待望の下りのスペシャリスト、若林くんです。

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全国高校駅伝では4区2年連続で区間一桁と、下り基調の区間に早くから適正を示していました。
一方、10000m超の距離にも入学後早いうちから対応。1年時秋以降は外さないレースがほとんどで、安定感も増してきました。

やはりというか初の箱根路でも山下り6区に抜擢。レベルの高い記録が多く区間10位も、59分30秒切はスペシャリストとしての片鱗を見せてくれたと思います。

予想区間
6区

今期は夏まで全く姿を見せずも尻上がりに調子を上げ、10000m2本をきっちり揃えてのエントリー。とはいえ、記録そのものはPBをわずかに更新という状況で学内の他選手からは若干見劣りします。
よって、特殊区間以外の出走可能性は極めて低いのではないでしょうか。

逆に言えば、例年通り冬にかけ調子を上げかつ秋以降の継続した練習が積めているのであれば、前回大会からの上積みは確実と言えます。
ラストの粘りが前回以上にきけば区間中位はもちろん、上位も十分狙えるでしょう。

下りがうまいというのもさることながら、前回大会は序盤の登りもかなり早く入っていた…というのもポイントです。年を追うごとのスタミナ強化とイコールで、記録も伸ばしてくれそうですね。