データ加工・分析の下準備 10人・16人平均の考察

サイトの仕様が仕様だけに、手元のデータは嫌になるほどの量があります。一ファンとしてこれを活用しない手はない!…ということで、今後の記事作成のための下地を整えておこうと思います。

10人平均と16人平均・及び標準偏差

各種データ加工・分析の基になる数字といえば、やはり各記録の10人ないし16人平均タイムでしょう。弊サイトの「記録30傑」ページを基に、ある程度正確性が担保される2004年度~2020年度初頭までの一覧を、標準偏差と箱根駅伝総合順位も添えて下記にお示しします。

このデータの注意点としては、

  • 各年度終了(2020年度は開始)時点の記録で、箱根駅伝の直前ではない
  • 部を離れた選手が、過去に渡って記録の平均等に参照されていない

…という2点です。

1点目、今後箱根駅伝関連の分析をする際には、他サイト様の記録を参照する可能性についてご留意下さい。

2点目は「いやなんでそんなことになってんの」というツッコミを頂きそうですが、「何年何月に部を離れた」という条件表示の分岐を加えることに苦心→挫折したことと、過去に部を離れた選手に至っては確たる情報が全く無いことから、已むを得ずの措置です。ご理解頂ければ幸いです。

標準偏差について

(現・学習指導要領の)高校数学1をかなり真面目にやった方、その後統計解析にふれる機会のあった以外にはあまり馴染みが無い語句と思いますが、誤解を恐れずわかり易さを重視すれば

「ばらつきの度合いを表した数字で、この数字が小さいほどチームとして記録の金太郎飴度が高く、層が厚いと判断できる。」

…といったところでしょう(詳しい方から見たら、色々とすみません)。「チーム平均」だけでなく、この数字を参照することで見えてくるものもあると個人的には考えています。後ほど詳述します。

グラフ化してみる

簡単な考察

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5000mは年度による浮き沈みが多少あります…が、記録30傑に高校在学時の記録が多く残っており、かつ最近は記録狙いの出走もやや減少気味ということもあって、概ね安定している印象です。10人と16人のばらつきがあまり差がないという点も、この見方をサポートしています。と同時に、箱根駅伝での悔しい途中棄権があった2012年度以降は、2017年度(藤原正和監督体制2年目)まで緩やかに下降している傾向も見て取れます。

10000mを見るとこの下降傾向は更に顕著に現れます。一方、記録の面では2015年度を底に翌年度以降V字回復を遂げており、藤原正和監督の強化の方向性を窺い知ることができます。しかし、2016年度~2018年度の標準偏差は記録の伸びに付いてこれず、当時から言われていた「エース以外の育成」「中間層の底上げ」に苦心されていたのだなあと思わされます。

ハーフマラソンについても同様の傾向が見られ、10000mの1年遅れで記録・標準偏差の回復傾向が観察できます。これも藤原監督の「長距離に強くなる魔法はない」という言葉の裏付けかと考えます。

各年度の指導陣の思惑―例えば、どの距離に重点を置いて出走していたか―等をきちんと押さえた場合、たぶん上記のような単純な考察では説明しきれない部分もありそうです。特に、かつてハーフマラソンは今ほど数多くのレースに出走していなかったように思います。とはいえ、以上のような見方は一つの考察の形として、参考になるのではないでしょうか。

その他の気になる部分

ほぼほぼ安定している5000mの標準偏差が2007年度一気に落ち込んでいる原因ですが、これは奥田選手・山本現コーチ・宮本選手達の世代が卒業し、一時的に層の厚さが失われたという点が大きいです。また、上野選手が最上級生として在籍しており、彼の記録は突出して優れていたため、ばらつきを大きくする方に寄与していたものと思われます。

翌年度は上野選手の卒業と、梁瀬・山本庸・水越選手ら(当時3年生)と、大石・山下・齋藤選手ら(同2年生)の伸びで一気に回復します。

安定してシードを確保していた時代は「中大は特に長い距離に強いので見ていて安心」というイメージがなんとなくありました。現在との単純な比較はできませんが、2004-2005年付近におけるハーフマラソンの記録・標準偏差の高さを見ると、さもありなんという感じです。(ここは2001年くらいまでデータが欲しかったのですが…。)

ちなみに、2019年度と2018年度の箱根駅伝直前ver

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平均記録の面ではほぼ差がない+大エースが卒業でなぜ戦えたかという理由を、標準偏差の改善が良く表しているのではないでしょうか。

とりあえず本日はここまで。各種データの加工や分析方法については、また色々とやり方を考えてみます。