5000mは年度による浮き沈みが多少あります…が、記録30傑に高校在学時の記録が多く残っており、かつ最近は記録狙いの出走もやや減少気味ということもあって、概ね安定している印象です。10人と16人のばらつきがあまり差がないという点も、この見方をサポートしています。と同時に、箱根駅伝での悔しい途中棄権があった2012年度以降は、2017年度(藤原正和監督体制2年目)まで緩やかに下降している傾向も見て取れます。
10000mを見るとこの下降傾向は更に顕著に現れます。一方、記録の面では2015年度を底に翌年度以降V字回復を遂げており、藤原正和監督の強化の方向性を窺い知ることができます。しかし、2016年度~2018年度の標準偏差は記録の伸びに付いてこれず、当時から言われていた「エース以外の育成」「中間層の底上げ」に苦心されていたのだなあと思わされます。
ハーフマラソンについても同様の傾向が見られ、10000mの1年遅れで記録・標準偏差の回復傾向が観察できます。これも藤原監督の「長距離に強くなる魔法はない」という言葉の裏付けかと考えます。
各年度の指導陣の思惑―例えば、どの距離に重点を置いて出走していたか―等をきちんと押さえた場合、たぶん上記のような単純な考察では説明しきれない部分もありそうです。特に、かつてハーフマラソンは今ほど数多くのレースに出走していなかったように思います。とはいえ、以上のような見方は一つの考察の形として、参考になるのではないでしょうか。