箱根駅伝コース紹介・区間歴代10傑

箱根駅伝の魅力は、第一に選手たちの力走する姿であることは疑いようもないことですが、風光明媚で多種多様なコースもその一つであると言えます。

同様の紹介記事は多々あるかと思いますが、管理人自身の備忘録も兼ねてコースの特徴や定点・区間記録などについてここへ記しておきます。

区間定点は日テレHPを参照(TV中継とは若干異なる場合あり)、コース高低差画像については、東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト(https://www.hakone-ekiden.jp/course/)から引用させていただきました。
歴代記録は箱根駅伝公式ガイドブックの記述に準じ、同一選手の記録は順位からは抜いています。

※本ページはコース変更や各大会終了後に、予告なく内容が変わる場合があります。

1区21.3km 大手町~鶴見

蒲田 15.2km
鶴見中継所 21.3kn

全体的にフラットなコースで特に近年はスピード区間のイメージが強いです。一昔前は序盤牽制からの後半での仕掛け、そして縦長の展開へということも多くありました。

仕掛けどころは7.8km地点新八ツ山橋の上り、18kmの六郷橋の上り下りの2つが主。
特に後半18km過ぎでは下りを利用して大きな集団が一気に割れたりすることもしばしば。ここからのわずか数キロの展開でトップと数十秒、場合によっては1分を超える差がつくこともあります。

98回大会・吉居大くんが最序盤から飛び出し、そのまま逃げ切りを成功させたことで1区のトレンドに大きな動きがあったように感じています。近年の高速化の煽りを受けて、今後も序盤牽制の展開は少なくなるでしょうか。

1位吉居 大和(中央大2)1:00:402022
2位佐藤 悠基(東海大2)1:01:062007
3位渡辺 康幸(早稲田大2)1:01:131994
3位米満 怜(創価大4)1:01:132020
5位藤木 宏太(國學院大2)1:01:182020
6位唐澤 拓海(駒澤大2)1:01:192022
7位池田 耀平(日体大3)1:01:212020
8位久保田 和真(青学大4)1:01:222016
9位鬼塚 翔太(東海大4)1:01:232020
10位市村 朋樹(東海大4)1:01:242022
10位木村 暁仁(専修大2)1:01:242022

2区23.1km 鶴見~戸塚

横浜駅前 8.2km
権太坂 15.2km
戸塚中継所 23.1km

2区は往路最長の23.1kmでご存知エース区間「花の2区」です。10km通過後になだらかな上りが始まり、第一の難所権太坂を迎えます。権太坂付近の上りでは約20mの高低差があり、ランナーを苦しめますがまだ中盤戦。残り3kmは1kmごとにアップダウンがあり、ラスト1kmを切ると一段と強烈な上り坂があります。中継所手前で苦しむランナーの姿を、過去どれだけ目にしてきたでしょうか。

96回大会で東洋大・相澤選手が1時間6分台の壁を突破、その前後で2区の記録水準が一気に上がりました。その一方で各校のエースをしても難所攻略に苦戦するケースが多く見られ、相対的に差が付きやすい区間とも言えます。

1位イェゴン ヴィンセント(東京国際大2)1:05:492021
2位相澤 晃(東洋大4)1:05:572020
3位メクボ ジョブ モグス(山梨学院大4)1:06:042009
3位田澤 廉(駒澤大3)1:06:132022
5位パトリック マゼンゲ ワンブィ(日本大4)1:06:182019
5位伊藤 達彦(東京国際大4)1:06:182020
5位ラジニ レメティキ(拓殖大1)1:06:182020
8位吉居 大和(中央大3)1:06:222023
 メクボ ジョブ モグス(山梨学院大3)1:06:232008
9位近藤 幸太郎(青学大4)1:06:242023
 田澤 廉(駒澤大4)1:06:342023
10位フィリップ ムルワ(創価大3)1:06:412022
10位ライモイ ヴィンセント(国士舘大4)1:06:412022

3区21.4km 戸塚~平塚

藤沢 7.6km
茅ヶ崎 14.3km
湘南大橋 18.1km
平塚中継所 21.4km

序盤の下りを利用して、藤沢定点までは非常に速いペースでレースが進みます。

以降はフラット気味なコースで走りやすそうな印象を一見受けますが、12km付近の浜須賀交差点からレースは湘南海岸へ。
日差しや海風が強く、強烈な向かい風を受ける年もしばしば。防砂林で日が当たったり陰ったりの寒暖差もあり、序盤のハイペースな入りが思わぬ展開を生むことがあります。

2区終了時からの展開が大きく動く区間で、スピードのあるランナーによるごぼう抜きなどが見られる年もあります。

1位イェゴン ヴィンセント(東京国際大1)0:59:252020
2位丹所 健(東京国際大3)1:00:552022
3位太田 蒼生(青学大1)1:01:002022
4位伊豫田達弥(順天堂大3)1:01:192022
5位遠藤 大地(帝京大2)1:01:232020
6位田澤 廉(駒澤大1)1:01:252020
7位森田 歩希(青学大4)1:01:262019
8位鈴木 塁人(青学大4)1:01:322020
9位青木 祐人(國學院大4)1:01:342020
10位オンディバ コスマス(山梨学院大4)1:01:382012

4区20.9km 平塚~小田原

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二宮 8.9km
酒匂橋 15.2km
小田原中継所 20.9km

2017年第93回大会から18.5km→20.9kmの距離変更があり、以前と同様に準エースがしばしば起用されるようになりました。

コース中全部で10ある橋を渡る度に出現する細かなアップダウンが選手たちを苦しめ、箱根の山に差し掛かる中継所1kmほど手前には上り坂も。ラストの絞り出しの有無で順位が大きく変動します。

単に5区への繋ぎというだけでなく、走力や判断力も求められる重要区間です。

1位イェゴン ヴィンセント(東京国際大4)1:00:002023
2位吉田 祐也(青学大4)1:00:302020
3位太田 蒼生(青学大2)1:00:352023
4位相澤 晃(東洋大3)1:00:542019
5位鈴木 芽吹(駒澤大3)1:01:002023
6位嶋津 雄大(創価大4)1:01:082022
7位石井 一希(順天堂大2)1:01:312022
8位名取 燎太(東海大3)1:01:372020
9位飯田 貴之(青学大4)1:01:462022
10位藤本 竜(國學院大4)1:01:482023

5区20.8km 小田原~箱根

函嶺洞門 3.5km
大平台 7.0km
小涌園前 11.7km
芦之湯 15.8km
元箱根 18.7km
芦ノ湖FINISH 20.8km

エース区間の2区とともに、過去数々の名勝負を演じてきた箱根路ならではの山上り区間です。
序盤平地込みの函嶺洞門定点を過ぎ本格的な上りに入っていくと、名物の大平台ヘアピンカーブが見えてきます。

中盤戦以降は勾配がきつく、例年大きな総合順位・区間順位変動が定点ごとに起こります。元箱根以降約5kmは下り基調ですが、順調に上ってきたランナーでもここからの切り替えが大事になってきます。ラスト数キロの定点間のみで、上位と下位に1分以上の差がつくこともしばしば。

上位陣のみならず総合順位下位からの大逆転も生まれる区間で、相対的に差も付きやすいと言えるでしょう。

1位山本 唯翔(城西大3)1:10:042023
2位四釜 峻佑(順天堂大4)1:10:192023
3位宮下 隼人(東洋大2)1:10:252020
4位細谷 翔馬(帝京大4)1:10:332022
5位阿部 陽樹(中央大2)1:10:362023
6位飯田 貴之(青学大2)1:10:402020
7位吉田 響(東海大1)1:10:442022
8位浦野 雄平(國學院大學4)1:10:452020
8位山川 拓馬(駒澤大1)1:10:452023
10位若林 宏樹(青学大1)1:10:462022

6区20.8km 箱根~小田原

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芦之湯 4.8km
小涌園前 9.0km
大平台 13.4km
函嶺洞門 17.0km
小田原中継所 20.8km

6区と言えば山下りコースですが、芦之湯定点は国道1号線最高点付近、全体的に上り基調でスタートします。

5km以降の強烈な下りでは、1km2分30秒台でランナーたちが駆け抜けています。
ラスト3kmはフラット気味なコースですが、下ってきたランナーたちにとっては強烈な上りを走らされているようなもの。ここのラストでも大きな順位変動が起き得る区間です。

往路の5区同様、持ちタイムのみに左右されない山下りの名手とも呼ぶべき選手が、毎年のように現れる箱根路ならでの特殊区間です。近年の記録の水準が大きく上がるとともに、特に上位校の中では差が付きづらい区間でもあります。他方、5区と並んでノウハウの少ない新設校が苦戦しやすい区間、すなわち上位進出への登竜門と言えるかもしれません。

1位館澤 亨次(東海大4)0:57:172020
2位今西 駿介(東洋大4)0:57:342020
3位花崎 悠紀(駒澤大3)0:57:362021
4位小野田勇次(青学大4)0:57:572019
5位秋山 清仁(日体大4)0:58:012017
 小野田勇次(青学大3)0:58:032018
6位中島 怜利(東海大3)0:58:062019
6位清水 颯大(順天堂大4)0:58:062021
 秋山 清仁(日体大3)0:58:092016
 今西 駿介(東洋大3)0:58:122019
8位髙橋 勇輝(青学大3)0:58:132021
9位谷野 航平(青学大4)0:58:182020
10位宮﨑 佑喜(日本大3)0:58:212020

7区21.3km 小田原~平塚

二宮 11.6km
大磯 18.3km
平塚中継所 21.3km

かつての印象では新入生デビュー区間、或いは復調途上のエースが出走し主導権を握る区間という印象でしたが、4区の逆コースということで最序盤こそ下りますが5km過ぎ酒匂橋以降は細かなアップダウンがあり、難しいコースです。
大磯定点までのアップダウンで足を使い、残りの3kmで例年思った以上に差がつくというのも特徴です。

中間点に難所が存在するものの、上位進出には速い入りも求められます。全区間の中で最も温度差が激しいことが多く、体感温度の上昇による思わぬブレーキにも注意が必要です。

1位阿部 弘輝(明治大4)1:01:402020
2位林 奎介(青学大3)1:02:162018
 林 奎介(青学大4)1:02:182019
3位設楽 悠太(東洋大2)1:02:322012
4位佐藤 悠基(東海大3)1:02:352008
5位岸本 大紀(青学大3)1:02:392022
6位小椋 裕介(青学大3)1:02:402015
7位阪口 竜平(東海大3)1:02:412019
8位葛西 潤(創価大4)1:02:432023
8位杉 彩文海(明治大3)1:02:432023
10位武井 隆次(早稲田大3)1:02:531993

8区21.4km 平塚~戸塚

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茅ヶ崎 6.7km
遊行寺坂 15.6km
影取 18.4km
戸塚中継所 21.4km

8区は7区同様に、時間帯の経過とともに気温上昇と陽射しで走りにくくなってくる区間です。

その上、16km地点までだらだらと上るようなコースの中に、突然遊行寺坂の強烈な上りが出現し、ランナーたちを苦しめます。坂を上りきった後残り3kmもアップダウンが続き、この3kmで例年かなりの差がつく要注意区間です。下位校にとっては繰り上げスタートも気になってくるところ。

2023年は歴代10傑にも乗る選手含め64分台が多数と、記録が高い水準に上がってきています。それでもコースの単純な難易度でいけば、復路でも最も高いのではないかと個人的に思っています。

1位小松 陽平(東海大3)1:03:492019
2位大保 海士(明治大4)1:03:592021
3位古田 哲弘(山梨学院大1)1:04:051997
4位大津 顕杜(東洋大2)1:04:122012
5位野口 英希(東洋大4)1:04:152021
6位宗像 直輝(法政大3)1:04:162023
6位木本 大地(東洋大4)1:04:162023
8位平 駿介(順天堂大4)1:04:172023
9位下田 裕太(青学大2)1:04:212016
 下田 裕太(青学大3)1:04:212017
 小松 陽平(東海大4)1:04:242020
10位岩見 秀哉(青学大3)1:04:252020

9区23.1km 戸塚~鶴見

権太坂 7.7km
横浜駅前 14.5km
生麦 20.2km
鶴見中継所 23.1km

復路の要、裏の2区となる区間で距離は最長、復路エース区間として力のあるランナー達が鎬を削ります。

2区と逆ということで序盤は下り貴重、続いて2区でランナーを苦しめた権太坂も下りになります。その後は緩やかな上りが続いたあとなだらかな下りとフラット気味なコースが続きます。一斉スタート組なども含め単独走になる大学が多く、例年暑さとの戦いになる時間帯でもあります。

98回大会では区間新記録が67分台に突入、70分切の選手も半数ということで、記録が新たなステージに到達した感があります。今後は以前の2区の記録が基準となってきそうです。

1位中村 唯翔(青学大3)1:07:152022
2位岸本 大紀(青学大4)1:07:272023
3位篠藤 淳(中央学院大4)1:08:012008
4位藤川 拓也(青学大4)1:08:042015
5位平林 清澄(國學院大1)1:08:072022
6位神林 勇太(青学大3)1:08:132020
7位石津 佳晃(創価大4)1:08:142021
8位緒方 貴典(創価大4)1:08:232023
9位山野 力(駒澤大4)1:08:262023
10位矢野 圭吾(日体大4)1:08:292014

10区23.0km 鶴見~大手町

蒲田 5.9km
新八ツ山橋 13.3km
田町 16.5km
御成門 18.1km
馬場先門 20.1km
大手町FINISHI 23.0km

最終10区はほぼフラットな23.0kmの長丁場。フラットなコースではありますが、御成門定点手前でわずかな上りがあるのと、強いビル風・大きな曲がり角・そして例年強い日差し等々で、特に後半のラップ維持が非常に難しいです。泣いても笑っても最後の区間、例年追い上げを目指すチームが序盤から突っ込んだ入りを見せますが、前述のように長丁場で後半のペース維持になかなか苦労します。

意図しない大きな失速もしばしば起こりますので、最後の最後まで一瞬も気が抜けません。
この区間も、一昔前に比べ一気に記録水準が向上しました。昔の2区や今の9区などの同距離での記録が今後基準になっていくかもしれません。

1位中倉 啓敦(青学大3)1:07:502022
2位嶋津 雄大(創価大2)1:08:402020
3位西澤 侑真(順天堂大4)1:08:422023
4位吉野 貴大(帝京大4)1:08:432020
5位清野 太雅(東洋大3)1:08:502022
6位松瀬 元太(順天堂大4)1:08:592007
7位山田 紘之(日体大4)1:09:052005
8位野澤 巧理(東京国際大4)1:09:062022
9位大津 顕社(東洋大4)1:09:082014
10位郡司 陽大(東海大4)1:09:082020